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教授あいさつ

New Departure ~患者さんに寄り添い、乳腺外科医を育む~

2020年4月1日、新たに藤田医科大学医学部乳腺外科学講座が開設されました。これまでも藤田医科大学病院乳腺外科では乳癌についての診断・治療を行ってきましたが、このたび、学生教育、若手乳腺外科医の育成、乳腺専門医・指導医の育成のほか、研究にも力を注ぐために新たに医学部講座としてスタートすることになりました。

現在、本邦で乳癌は、女性がもっとも罹患しやすい癌であり、その罹患率は上昇し続けています。基礎的・臨床的な研究によって、乳癌の病態は多様性に富み、単一的な治療ではすべての乳癌患者さんに対応していくことは不可能なことがわかってきました。一人一人の癌の性質に合わせて、手術に抗癌剤やホルモン剤、分子標的治療薬などを組み合わせることにより、治癒を目指した治療を行うことができます。

藤田医科大学病院では、循環器疾患、呼吸器疾患、脳血管疾患などさまざまな合併症を持つ患者さんやご高齢の患者さんに対しても、関連診療科での治療と並行して、乳がん治療が行える体制を整えています。手術前や手術後には再発予防目的で化学療法を行う際、臨床腫瘍科との連携を図って外来薬物療法センターで化学療法を実施していきます。外来薬物療法センターにはがん薬物療法を専門とする臨床腫瘍科医師のほか、がん専門薬剤師、がん化学療法看護認定看護師、管理栄養士、メディカルソーシャルワーカー、歯科衛生士が常駐しています。副作用対策のほか、癌治療に伴う不安にも親身に対応・指導を行い、安心して薬物療法が受けられるような環境となっています。疼痛に関しては、緩和医療科と連携を図り、入院・外来を通じて、患者さん一人一人が、できる限り平常の生活を送れるように支援をしています。

藤田医科大学乳腺外科では、年間約300例の乳癌手術を実施しています。これらの患者さんに、乳腺外科で診断、手術、術前薬物療法、術後薬物療法、ならびに形成外科と連携を図った一次乳房再建を実施しています。なかでも、乳房温存治療については、根治性と整容性の両立を目指した治療に着目し、日本人女性に適した乳房温存手術術式(乳房温存オンコプラスティックサージャリー)を発信し続けています。

藤田医科大学乳腺外科での基礎的・臨床的研究が、明日の乳癌を中心とした乳腺疾患の診断、治療の進歩に貢献できるように進んでまいりたいと思っています。

教授喜島 祐子